大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所金沢支部 昭和57年(行コ)2号 判決 1982年12月22日

控訴人 辻井貞次

右訴訟代理人弁護士 合田昌英

被控訴人 名古屋陸運局長 増田信雄

右指定代理人 服部勝彦

<ほか七名>

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人が昭和五一年一二月一六日控訴人に対し名陸自第八六〇五号の九四をもってなした一般乗用旅客自動車運送事業の免許申請却下処分を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠関係は次に附加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。

(控訴人の主張)

控訴人が本件免許申請をなしたときに被控訴人において右許否の審査をなすべき義務があり、当時までは、申請事案の処理期間は一年一か月ないし二年一〇か月余であったにもかかわらず、本件申請については申請後約三年半後にはじめて本件処分がなされたことは、たとえ、右審査期限について何らの制限規定がなく、同時期に申請された同種事案全部について長期間を要し控訴人のみが特異な取扱を受けたものではないとしても、著しい長期間の処分の延引であり、その間に控訴人にとって著しく不利益な審査基準、審査方法の変更がなされていること、審査手続の延引について個人タクシー事業をめぐる種々の状況が存したとしてもこれについて何ら控訴人に説明がなされていないことを考慮すると、被控訴人に明らかな義務違反があり、本件処分は裁量を逸脱した違法のものであり、ひいては、憲法二二条一項の職業選択の自由の保障に反する。

理由

当裁判所も原審と同様、控訴人の本訴請求は棄却すべきものと判断するが、その理由は、次に附加するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

控訴人は、本件処分は裁量権の範囲を逸脱した違法、違憲のものである旨主張する。

しかしながら、前記(原判決理由引用)認定の事実関係のもとにおいて、本件処分は、その時期、内容について、いまだ、被控訴人に許されるべき本件行政規制上の裁量権を逸脱した濫用にわたる手続をもってなされた違法のものであるとは解することができない。控訴人の右主張は採用できない。

以上の次第であって、右と同旨の原判決は相当というべく、本件控訴は理由がないので、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山内茂克 裁判官 三浦伊佐雄 松村恒)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例